重症化予防には自分で対策することも重要
花粉症治療において、薬物治療だけで症状を完全にコントロールすることは難しく、症状を悪化させないためには患者さん自らが対策することが重要です。『花粉症を少しでも楽に乗り切るために。自分でできる花粉症対策の基本。』では、外出時や室内など、自分で出来る花粉症対策についてご紹介しましたが、今回は目と鼻の症状別のセルフケアを見ていきましょう。様々な対処法がありますので、是非ご参考にしていただければと思います。
目のセルフケア
目のセルフケアとしては、①花粉に触れないようにする、②洗浄して花粉を洗い流す、③休める、④冷やすに大別できます。
1.花粉が触れないようにする
目に花粉が触れないようするには、眼鏡の着用が勧められます。
涙には洗浄作用があり、目に入った異物を洗い流します。しかし、コンタクトレンズを装着していると、眼球とコンタクトレンズの間に花粉が入ることで、涙で花粉を洗い流すことができず、目の炎症が悪化してかゆみがひどくなる可能性が高まります。
また、裸眼の方でも花粉対策に眼鏡は有効です。環境省が発行している『花粉症環境保健マニュアル2022』において、普通の眼鏡を使用するだけでも、裸眼と比べて目に花粉が付着する量が約40%、花粉対策用の眼鏡では、約65%減少すると記載されています。花粉症の時期には、コンタクトレンズを装着している方だけでなく、裸眼の方も眼鏡を使用すると良いでしょう。
2.洗浄して花粉を洗い流す
万全な対策を行っても、花粉を完全に防ぐことは困難です。目に付着してしまった花粉を取り除くには、目の洗浄が効果的です。目の表面では涙が目を保護していますが、成分の異なる水道水で洗浄すると、細胞を傷つけ、涙を洗い流してしまいます。
そこで、市販の人工涙液や洗眼薬などが勧められます。人工涙液は、自然の涙液に近い成分の点眼薬です。花粉シーズンには、目のかゆみが気になって何度も目薬を使用する方がいますが、点眼回数が多すぎると、目の保護に必要な涙の成分を洗い流してしまい、ドライアイの原因になります。どうしても点眼回数が多くなる方には人工涙液の目薬が勧められます。その際、防腐剤が含まれないものを選ぶことが重要です(防腐剤の成分によっては角膜障害(角膜の傷)を引き起こす恐れがあるため)。
洗眼薬には、抗ヒスタミン成分が配合されているものがあります。注意点としては、汚れたままの容器を用いたり、使用前に洗顔せず目の周りの汚れがある状態で洗眼してしまって異物が眼球を傷つけたり、感染してしまう恐れがありますので、用法容量を守りましょう。
3.休める
花粉症の時期は目の炎症が起こりやすく、目に負担がかかりやすいといえます。そこで、質の高い睡眠を取る、意識的に目を休める時間を確保する、目の乾燥に気をつける、バランスの良い食事を摂る、といったことに留意し、目を保護することを心がけましょう。
4.冷やす
目の炎症によるかゆみや充血は、冷やすことで緩和されます。辛い時でも目をこするのではなく、冷水で冷やしたタオルや、保冷剤をくるんだタオルで目を冷やしましょう。
鼻のセルフケア
鼻のセルフケアとしては、①マスクの着用、②鼻の保護、③鼻うがい(鼻洗浄)、などが挙げられます。
1.マスクの着用
まずは、花粉を吸いこまないようにマスクをしましょう。通常のマスクでも効果があり、『花粉症環境保健マニュアル2022』では、マスクをしない時と比べてマスクをすると吸い込む花粉を約70%、花粉対策用マスクでは約85%削減できると記載されています。
2.鼻の保護
花粉症になると、鼻のかみ過ぎで肌荒れすることもあります。肌が荒れてしまったら、ワセリンタイプなどの軟膏で保護することが勧められます。また、肌荒れリスクを軽減するため、鼻をかむときは保湿ティッシュを使用すると良いでしょう。
3.鼻うがい
鼻水を洗い流せてすっきりするため、好む人もいますが、塩素を含む水道水で洗うと、鼻の粘膜を傷つけてしまう恐れがあります。そこで、鼻水や涙などの人間の体液と同じ塩分濃度の0.9%の食塩水を用いるか、市販の鼻うがい製品でも良いでしょう。ただし、鼻うがいをやりすぎると鼻の粘膜を傷つけてしまい、逆効果になる可能性があります。
以上の目と鼻のセルフケアについてまとめると下表のようになります。
上記の通り、日ごろの患者さん自らの対策が、症状を悪化させないためには重要ですが、それだけでは症状を抑えきれないことも多いかと思います。まずは、医師に診断をしてもらい、自身の症状にあった治療法を行いつつ上記のセルフケアを並行して行うことが、花粉症シーズンを楽に乗り切るためには重要です。
まずは下記から症状チェックを行って、対策や治療についてコンシェルジュに相談してみましょう。