まずは花粉症を知ろう
鼻症状や目の症状など、毎年辛い花粉症ですが、花粉症とよく似たアレルギーや、花粉症を原因として発症する食物アレルギーなど、花粉症の症状を適切にコントロールするためには知っておいた方が良いことがいくつかあります。ここでは、花粉症の成り立ちや関連するアレルギー疾患についてご紹介します。
アレルゲンは約50種類と多く、通年性アレルギーは別物
花粉症は、植物の花粉を原因として、鼻症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)や目の症状(目のかゆみ、充血、涙)などのアレルギー症状を来す病気で、季節性のアレルギー性鼻炎とアレルギー性結膜炎の総称です。よく知られている原因物質(アレルゲン)にスギ花粉やヒノキ花粉がありますが、その他ブタクサ、ヨモギなどの雑草やイネなどの花粉からも発症し、国内にはおよそ約50種類のアレルゲンとなる植物があるとされています。
また、似たようなアレルギーとして通年性アレルギーがあり、こちらは花粉を原因とするものではなく、ダニやハウスダスト、ゴキブリ、ペットの毛などがアレルゲンとなります。鼻症状の他に喘息、アトピー性皮膚炎を合併することもあります。通常、通年性アレルギーでは鼻症状(通年性アレルギー性鼻炎)が強く、目の症状(通年性アレルギー性結膜炎)の発症頻度はそこまで高くありません。
発症の有無は個人差が大きい
体内では、侵入してきた物質を自分以外の異物(抗原)と判断すると、これを無害化しようとする抗原抗体反応(免疫反応)が起こります。免疫反応は身体に必要ですが、生活に支障を来すほどの過剰な反応をアレルギーと呼びます。
花粉症は、体内に入った花粉に対して人間の身体が起こす免疫反応で、侵入した花粉を抗原と認識し、この抗原に対する抗体を作り、再度侵入した花粉を排除しようとします。この一連の流れにおいて、体内で出てきたヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質によりアレルギー性鼻炎/結膜炎を発症します。
花粉症を発症するかしないかは個人差によります。現在花粉症を発症している人は、アレルギー素因(アレルギー反応を起こしやすい体質)を持ち、かつ、既に抗体生成量が許容量を超えてしまった人で、まだ発症していない人は①花粉症の素因を持たない人(花粉に対して抗体をほとんど作らない人)、②花粉症の素因を持っているが抗体生成量がまだ許容量を超えていない人に分かれます。②の人は、花粉への曝露量が増えて許容量を超えると花粉症を発症します。
花粉症から食物アレルギーの発症には要注意
鼻水やくしゃみなどの鼻症状や目のかゆみなどの目の症状は、花粉を排除しようとする身体の働きですが、症状が強くなり過ぎるとQOL(生活の質)は低下します。これらの症状は、花粉の飛散量が多いほど強くなりやすい傾向があり、その結果QOL低下につながるものとして、仕事や勉強などにおける集中力の低下、外出控え、睡眠不足、倦怠感、疲労などが挙げられます。
また、花粉症の発症を原因として、特定の食物アレルギーを発症することがあります。花粉に含まれるアレルギーのアレルゲンとよく似た構造のものが食物中に含まれていることがあるためです。表は各花粉症とアレルギーを発症しやすい食物の代表例で、症状の多くは口腔、咽頭、口唇粘膜の刺激や掻痒などですが、中には嘔吐、下痢などの消化器症状やアナフィラキシーショックといった重篤なものもあります。花粉症になると、必ず食物アレルギーを発症するわけではないものの、アレルギー検査を受けて自分がどの花粉症かを知っておくと、食物アレルギーのリスクを軽減できます。
以上のとおり、花粉症の成り立ちや関連するアレルギー疾患についてご紹介しましたが、鼻症状や目の症状を感じながらも、「まだ大したことない」と思って、特に何もせず放置している方もいるのではないでしょうか。
安易な自己判断はせず、受診して医師の判断に基づいて治療を行うことが勧められます。
まずは下記から症状チェックを行って、対策や治療についてコンシェルジュに相談してみましょう。